唐突だが、私はおばけが怖い。
「おばけなんて非科学的なもの。人間の方がよっぽど怖いよ。」
言いたいことはわかる。
でもなぜいないと言い切れる?
己の目にうつるものだけが真実だと思っているのか。
それはいささかうぬぼれが過ぎるんじゃないのか。
たかが人間ごときがこの世の全ての現象を把握し、理解でき文字数
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まあこんな感じで、本当にいるかいないかはともかく、私はおばけが怖い。
ただ、ある対処法を中学生のころ編み出したおかげで、おばけの恐怖心に打ち勝つことができるようになった。
娘の「おばけがこわい」発言で思い出したので、ぜひ伝授したいと思う。
家の前に小さな川があった。
その川は、むかし人が流れて亡くなったかとかなんとかで、おばけがいると噂の川だった。
さらにその川沿いの道は本当に狭くて、街灯もなく、ピチピチの若い女の子1人で歩くには心細さしか感じない道だった。
でもこの道を通らなければ家には帰れない。
そこで中学生の私は、このおばけ問題について本気で考えた。
【課題】この川沿いの道におばけがいると仮定して、どうすればそのおばけに襲われずにすむか。
↓【解決策】おばけが襲いたくないと思うような自分になる
これが導き出した答えで、30歳の今でも役に立っているおばけ対策である。
「おばけが襲いたくないと思うような自分になる」とはどういうことか。
まずおばけに襲われてしまう人とはどういう人か。
実際におばけに襲われた人を知らないので、サンプルはホラー映画から拝借。
おばけに襲われてしまう人には3つのパターンがある。
・おばけの存在を信じず、さらにはおばけをバカにした態度をとる
(例:悪ノリで肝試し提案しちゃうようなタイプ)
・怖がり過ぎる
(例:おばけの存在を意識しすぎて、逆にやられるタイプ)
・良くも悪くも普通の人←特に重要
(例:主人公は死なない)
この3つのタイプに当てはまらなければ、おばけに襲われないと中学生の私は考えた。
そして、実践。
「おばけであるあなたの存在を信じています。
私よりもずっと前にこの世界を生きた先輩として尊敬しています。」と唱えながらも、あくまで生きた人間とおばけの立場は対等であると堂々した気持ちでいる。
そして、特に重要であるポイント。
普通の人でいないために、ホラー映画で襲われるようなシーンからことごとく外れた動きをする。
まず基本としてカニ歩きをする。
なぜならカニ歩きをしている人を襲っているシーンを見たことがないから。
次に思いっきり愉快な顔をする。
なぜなら全力の変顔をしている人を襲っているシーンを見たことがないから。
たまにリズム感を外して踊る。
なぜなら奇妙でヘンテコな踊りをしている人を襲っているシーンを見たことがないから。
こんな感じでおばけの道を通り抜けていた。
これは金縛りにあいたくないときにも応用できる。
布団の中で仰向けの真っ直ぐな状態で寝ない。
必ず何かしら動きをつけた状態で寝る。
よく使っていたのはおそ松くんのイヤミが行うギャグである「シェーのポーズ」。
だいたい映画で金縛りにあっている人は仰向けの綺麗な態勢で寝ているものだ。
だからさすがにこの態勢で寝てるやつを金縛らないだろうって思えるポーズをするのだ。
まとめると、
・おばけをバカにしない
・怖がりすぎない
・普通から逸脱する
という極めてシンプルな3原則だが、今のところ本当に効果がある(と固く信じている)ので、もちろん娘には教えるつもりだ。
ちなみに今までも「おばけがこわい」という同類の友人に本気でおすすめしてみたことはあるが、真剣に取り合ってもらえたことはない。